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2015.3.10 - 3.22
那須悠介 Nasu yusuke

緑の火

35mm モノクロ 10x12in. 23枚
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大半のエメラルドには大なり小なり傷が入っていて、光を照射することで複雑な反射光が生まれる。それ故に産出国のコロンビアでは、エメラルドのことを別名フェゴ・ベルデ(緑の火)と呼ぶ。

光(色)と傷(屈折)がこの現象を生むとすれば、この傷は、エメラルドが生成される過程において、本来混ざるはずのないクロム(アルカリ性)と酸化ベリリウム、酸化アルミニウム(酸性)という真逆の性質を持った元素同士が混ざり合うことによって生じる。これには、同一の地域で、異なる火山活動が、地中の奥深くで起こらなければならない。

相反するもの同士が合一するには様々な要素があって、そこには偶然性が大きく関与する。世の中にはこうした偶然が、エメラルドのような石だけにでなく、至るところにあるように思う。

写真が一種の結晶化だとすれば、相反するものを瞬時に等価で取り込むことができる記録装置であるとしたら、大小の傷とともに、緑の火を生みだすことができるのではないだろうか。


那須悠介

 

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