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#54

2010.11.23 - 12.5
原芳市 Hara yoshiichi

光あるうちに
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6×6判 モノクロ 11×14in. 30枚
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◎トルストイ著、『光あるうちに光の中を歩め』は、古代キリスト教に生きる2人の若者を通して描く、晩年の彼の思想を色濃く示した小説だ。無知なぼくは、その小説を知らずに、『光あるうちに』とタイトルした写真を撮影しはじめていた。ちょうど15年ほど前のことだった。
◎ある時、何気なく古本屋の書棚を見ていた時、薄っぺらな文庫本のタイトルに、釘付けになった。それが、『光あるうちに光の中を歩め』だった。
◎それは、『光あるうちに』というぼくの問いに対する解答が、トルストイによって、与えられているような衝撃だった。ぼくが、『光あるうちに』といいさした時、トルストイから、『光の中を歩めと』結論付けられてしまったような不思議な感覚を持ったのだった。
◎勝手な思いだったが、トルストイのその小説とは無関係に、そのタイトルだけが、ぼくの脳裏を渦巻いていたのだった。何を見ても、何をやっていても、常にそのタイトルが、リフレインしていたのだった。そして、何気なく気になって撮影した光景や人やモノは、そのタイトルに導かれて撮影したのだ、と撮影し終えてから思ったりするのだった。

原芳市

 

 

渋谷区鴬谷町にある古書店「東塔堂」で、続編が開催されました。

光あるうちに II

2011.4.25 - 5.21
6×6判 モノクロ 11×14in. 20枚

東塔堂 web site >>
東塔堂「光あるうちに II」 関連ページ >>


 

俗世間にまみれるぼくは、崇高な光を通俗に変え、トルストイの著書、『光あるうち光の中を歩め』で描き出される、2人のうちのユリウスになって、この世を生き、運がよければ、もう少し、これからも生きてゆくんだろうと思います。しかし、常に『光あるうちに』という言葉が、呪文のように、わが身をかすめます。かすめてゆく度にぼくは、写真機をバッグの中から取り出して、自身に向ける気持ちで、四角な窓を眺めずにはいられないのです。

 

※5月5日17:00より参加無料で、福田文昭氏(元「フォーカス」カメラマン)を迎えてトークイベントが開催されました。

 
 
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